“無言劇”があるなら“無見劇”があってもいいはずだと、我々大川興業は2003年世界初の暗闇演劇を上演し、無事に10周年を迎えることが出来ました。ひとえに勇気あるお客様方のお陰です。そして、無謀なチャレンジについてきてくれた役者やスタッフ、劇場の方々、本当にありがとうございます。

実際には、20年位前から長時間の暗闇シーンを演じてきました。その当時から、お客様の中には、台詞がないのに気配を感じ、役者の方を向いていたりする方がいました。

暗闇演劇は、単なる朗読劇のようなものではありません。役者は明るい舞台と全く同じように動き、台詞を喋り、演技をしているのです。もちろん、お客様と同様に全く見えていません。稽古場に劇場と同じ空間を作り、真っ暗闇の中で稽古を重ねた結果、役者たちは暗闇の中でも明るい舞台と同じように演技ができるようになりました。

暗闇演劇はよくラジオドラマに例えられますが、ラジオは音が動きません。移動する音、温度のある音、肺から出る生きている音で空間を想像し、小説を読むかのように、お客様は、声や気配で3D プリンターのように登場人物を作り上げます。耳純文学、いや、3D小説、4D小説の様でした。この10年間、暗闇では、嗅覚がするどくなるので匂い演劇で時空を越えたり、暗闇ボクシングで見えない敵との戦いと、色々チャレンジしてきました。今年は原点に戻り、最初の作品を上演します。見えない芝居、音と気配だけの芝居。心の中に光をともしてください。皆様のご来場を心よりお待ちしています。

大川 豊

大川興業