コラム

2015.09.22.暗闇演劇における「光」。

ホタル

暗闇演劇では、小さな光、一瞬の光が、砂漠の中で出会った水滴のように、生命を感じたり、涙したり、感動したり、躍動感を与えたりします。
たとえば、「THE BACK OF BLACK」という公演においては、自分の影に恐怖を感じ、暗闇にいた青年が子どもに「影と一緒になるといいよ、360度回る光の中にいればいいんだよ」と言われます。
360度回る光の中とは、光る縄跳びのことです。青年が「そうか!全身に光を浴び、影のない世界を跳べばいいのか」と光の輪の中に入ると、なんと逆に人影のように全身が真っ黒になりました。影も初めて地面から離れ、影と本人が一体化し、自分自身が影自身になりました。
影と一緒になって跳んでいる姿は美しく、暗闇なのに優しく影が包み、光の輪は教会のローソクの火が何かを語りかけるかのように温かく笑っていました。
暗闇演劇では、このように照明ではなく「生きた光」が活躍します。
「Show The BLACKⅡイウコエオト」公演では、暗闇ボクシングに挑戦しました。ボクサーが暗闇でボクシングをやっていると、いつのまにか蛍が出てきます。ボクサーがストイックに減量しながらトレーニングをしていると、成虫になった蛍も交尾するまで水も食料も取らず、ストイックに光を放ち、最期を迎えます。
一緒にトレーニングをしているうちに、ボクサーのシャドウボクシングに合わせて、ステップをしたり、ジャブをよけたり、スウェーしたり、ストレートを打ったり、右フックをかわしたり、コーチや対戦相手のように蛍が飛びました。
光る縄跳びの時も、蛍の光の時も、残像現象なのか、光が止まっているかのように見えました。「光」にはいろいろ考えさせられます。
アインシュタインは光を見て、「光速は不変である」と言いました。光が不変であるがゆえに、時間は絶対ではなく、速く進むこともあれば、遅く進むこともあります。そんな発見をしたのも、光にはそれを感じさせる何かがあったからだと思います。
ホタルによって動きも違ってきます。その「光」も演じています。「泣いているんだ」「笑っているんだ」「あれ? 怒っているのかな?」と、それぞれの動きで表現しているかのようでした。
是非とも「光」が主役の演劇を観てもらえればと思います。