コラム

2015.10.04. 暗闇演劇を始めた理由

 もともと大川興業は暗闇のお笑いを得意分野としています。最初に暗闇ネタをやったのは1992年の本公演「ハングリー精神」で、この時は15分間、暗闇のシーンが続きました。
ストーリーは次のようなものです。  ある日、一人の男がトイレに入っていると、セキュリティシステムが作動して閉じ込められてしまいます。照明が消えた真っ暗闇のトイレの個室で、なぜかパソコンが「バッテリーノ充電ガ完了シマシタ」と語りかけ、炊飯器が「ゴ飯ガ炊ケマシタ」と報告し、カメラが「フィルムヲ入レテクダサイ」と懇願し、トラックが「ピー、ピー、バックシマス」としゃべり出します。  トイレの中にいるのに、なぜかカーナビの声まで聞こえてきます。 「100メートル先ヲ右折シテクダサイ」 「ア! 人ヲ轢キマシタ。早ク逃ゲテクダサイ」  と、機械の言葉がだんだんお笑いバージョンになっていき、主人公がどんどん機械音だけで追いつめられていく物語です。  

暗闇はブラックホールのように、ありとあらゆるものを吸い込みます。時間感覚を狂わせるほどのパワー、人が死の恐怖を感じるような精神の吸い込みもあるのではないかと予想していました。そのため実際に舞台をやるまでは、「笑いが勝つか、暗闇が勝つか」という勝負になると考えていましたが、実際にはお客さんは充分ついてきてくれました。  
そして、お客さんがついてきてくれただけでなく、もっと広がりがありました。役者もお客さんも互いに呼吸をし、時には戦い、連帯し、冷静に距離を置いたり、と不思議な舞台になったのです。  多くのお客さんが途中で退席するかと思いきや、途中退席するお客さんはほとんどおらず、恐怖も感じず、むしろ楽しんでいる人が圧倒的でした。
これを見た外国の方からは、「日本には深夜12時からのお祭りがあったり、胎内くぐりがあったりする。日本人は暗闇を恐怖と感じないのではないか。逆に暗闇に楽しみを感じているのではないか」と言われました。
お客さんが書いてくれたアンケートにも、 「最初は暗闇がすごくストレスだったんですが、笑いが起きると絶妙な一体感があって、なぜか気持よくなった。闇の中での笑いというものを人生で初めて体験し、非常に面白かった」 「暗闇の中で演技するということが想像できず、自分自身も目を開けているのか閉じているのかもよくわからなかった。最初はラジオドラマのように思っていたのだが、人の気配とか息遣いとか、音が動くということに非常に新しい形の演劇を見たと思います」  という感想もありました。
大川興業の暗闇演劇は「世界初」の試みであり、勢いあまって登録商標も取得しています。ぜひ、海外でもやってお客さんの反応を見てみたいと考えています。  海外公演を実現するためにも、誰かプロモーターを紹介して下さい!

2015.10.04.